OPENING MANGA / 3 PAGES
書く材料はあった。でも、本の軸にならない。
本文を一行も書けずに止まったガク。メモや資料を見つけても、誰の何を解決する本か決められない行き詰まりを3ページで描きました。



今ある材料メモ・資料・頭の中の経験
→先に決める5項目読者・問題・問い・章・各章の材料
最初に長文を書かない。一章ずつ書ける設計図へ変える。
Kindle本を作りたいのに、本文をまだ一行も書いていない。これは特別な遅れではありません。僕も、一章から最終章までの文章を先に書き終えてから本づくりを始めたことは一度もありませんでした。
最初にあったのは、メモ、セミナー資料、頭の中に残っていた経験です。それらをいきなり長い文章へ伸ばすのではなく、誰の何を解決する本かを決め、必要な経験を掘り出し、章ごとの材料へ分ける。本文を書く前に必要なのは、この設計です。
この記事では、KDPへの登録、表紙や組版、費用、外注先、出版後の営業活用までは扱いません。まだ本の本文を書いていない人が、手元の材料から「書き始められる設計図」を作るところまでに絞ります。
この記事で分かること
- メモや頭の中の経験を、本に使える材料へ分ける方法
- 自分が伝えたいことと、読者の問題を重ねる考え方
- 一冊で答える問いと、扱わない範囲の決め方
- 疑問解決型とレベルアップ型で章を並べる方法
- 各章へ具体例と読後の行動を置く準備
- 今すぐ出版準備へ進むか、経験整理を先にするかの判断条件
30秒で分かる結論|先に作るのは長文ではなく、本の設計図
メモ、セミナー資料、頭の中の経験は、そのままでは一冊になりません。しかし、材料がないわけでもありません。
最初に作るのは、次の五つを一枚にした本の設計図です。
- 読者:誰が読むのか
- 問題:その人は何に困っているのか
- 一冊の問い:この本は何に答えるのか
- 章の順番:どの疑問から解くか、何からできるようにするか
- 各章の材料:使う経験、具体例、読後に試すこと
この五つが決まると、「一冊分を最初から書かなければ」という大きすぎる作業が、「この章で、この疑問に答える」へ小さくなります。
本の材料は、文章の形でそろっていなくていい
僕が10冊以上のKindle本を作ってきた中で、最初から本の本文が一章から最終章まで書かれていたことはありません。出発点にあったのは、主に次の三つでした。
- メモ
- セミナー資料
- 頭の中にある経験や考え
ここで大事なのは、ブログ記事や講座資料を「もう本の文章がある」と数えないことです。別の目的、別の相手、別の順番で作られたものは、本へ使える材料ではあっても、そのまま一冊の本文になるとは限りません。
反対に、文章になっていない経験も材料になります。失敗した場面、迷った判断、試した方法、うまくいかなかった理由、あとから変えた考え方。会話で質問されると、忘れていた具体例が出てくることがあります。
つまり最初の確認は、「何文字書けているか」ではなく、何を経験し、何を考え、何を人へ伝えられるかです。
DIAGRAM 01 / FIND THE MATERIALS

ステップ1|マインドマップで経験を外へ出す
僕は経験を整理するとき、マインドマップとAIとの壁打ちを使います。AIに質問してもらうと、自分一人では思い出さなかった場面が出てくるからです。文章を手で打つのが止まるときは、音声入力も使います。
ただし、AIに「本を一冊書いて」と丸投げするためではありません。AIの役割は、本人の中にある材料を質問で掘り起こし、似た話をまとめ、抜けている点を知らせることです。何を本へ入れるか、事実として言えるか、読者に何を持ち帰ってほしいかは本人が決めます。
経験を思い出すための質問例
次は、経験を外へ出すために使える一般的な質問例です。僕が毎回この文面を固定で使っている、という意味ではありません。
- どんな人が、どんな場面で困っていたか
- 自分も同じ問題で困ったことがあるか
- 最初に何を試し、なぜうまくいかなかったか
- 判断を変えたきっかけは何だったか
- 前と後で、行動や考え方はどう変わったか
- 当時の自分へ一つだけ伝えるなら何か
- 誰にでも当てはまる部分と、自分だけの条件は何か
- 数字、日時、資料などで確認できる事実は何か
- 記憶だけで、証明できない部分はどこか
思い出した内容は、最初からきれいな文章にしません。一つの出来事を一枚のカードにして、「困りごと」「試したこと」「失敗」「変化」「伝えたいこと」などへ分けます。
コミコAIに質問してもらったら、AIの本にならない?
親バカ社長質問は記憶を開ける鍵です。経験した人、事実を確かめる人、入れる話を決める人が自分なら、本の軸も自分に残ります。出てきた文章を確認せず使うと、そこで初めて自分の本から離れていきます。
ステップ2|「自分側」と「読者側」が重なる場所を探す
経験を並べただけでは、まだ本のテーマは決まりません。僕は、自分が伝えたいこと・得意なことと、読者が困っていること・解決したいことのバランスを取るようにしています。
自分の話だけを優先すると、読者には日記のように見えることがあります。検索されそうな悩みだけを追うと、自分の経験が薄くなり、誰が書いても同じ説明になります。
両方が重なる場所を探します。
DIAGRAM 02 / THEME BALANCE

次の表へ候補を書き出すと、広すぎるテーマを絞りやすくなります。
| 確認する側 | 書き出すこと | 例 |
|---|---|---|
| 自分側 | 長く続けたこと、失敗したこと、何度も聞かれること | 集中できない場面ごとに方法を変えた経験 |
| 読者側 | 困る場面、検索する言葉、試しても解けないこと | 集中法を試しても仕事や勉強で続かない |
| 重なる場所 | 自分の経験で答えられる具体的な問題 | 場面に合う集中の使い分けを知りたい |
| 境界 | 今回は答えないこと、確認できないこと | 医学的な治療効果、全員に同じ結果が出る保証 |
読者を「仕事に悩む人」のように広く置くと、問いも章も広がります。「複数の集中法を試したが、場面ごとの選び方が分からない人」のように、困る場面まで見えるところへ寄せます。
ステップ3|一冊で答える問いを、一文にする
テーマが「集中力」だけでは、一冊の範囲が分かりません。読者が読み終えたときに答えを持ち帰れる問いへ変えます。
問いは、次の形にすると確認しやすくなります。
[どんな状況の読者]が、[何を判断・実践できるようになるために]、[何をどの順番で知ればよいか]?
たとえば、「集中力について伝える」ではなく、「集中法を試しても続かなかった人が、場面に合わせて方法を選び、実践するには何を知ればよいか」と置きます。
一冊の問いが決まったら、答えない範囲も一緒に書きます。境界がないと、思い出した経験を全部入れたくなり、章が増え続けます。
| 設計項目 | 一文で書く |
|---|---|
| 読者 | 今、どんな場面で止まっている人か |
| 一冊の問い | 読後に何を判断・実践できればよいか |
| 入れる経験 | その問いへ答えるために必要な出来事は何か |
| 入れない範囲 | 別の本や記事へ分ける話は何か |
| 言えないこと | 証明できない因果、保証できない結果は何か |
ステップ4|章立ては「疑問」か「レベルアップ」で並べる
章は、話したい順に並べるだけでは読者が迷います。僕は、読者の疑問を順番に解決するか、順番にできることが増えるように意識しています。
疑問解決型
「なぜ困るのか」「どう考えるのか」「何を試すのか」のように、次に生まれる疑問へ答えます。原因や判断基準を理解してから行動する本に向きます。
レベルアップ型
「知る」「やってみる」「続ける」のように、前の章を土台にして実践を積み上げます。手順やトレーニングを扱う本に向きます。
DIAGRAM 03 / CHAPTER ORDER

どちらの型でも、各章には次の四つを置きます。
- この章で答える小さな疑問
- 使う経験や具体例
- そこから言えることと言えないこと
- 読者が次に試す行動
章タイトルだけを先に増やすのではなく、この四つが置けない章は、材料を追加するか、ほかの章へまとめます。
ステップ5|材料を章へ配り、足りない部分だけ掘る
最後に、経験カードを章へ配ります。一つの経験を複数の章で繰り返さず、「この経験は、どの疑問に答えるために使うか」を決めます。
| 章 | この章の疑問 | 使う経験・資料 | 追加で確認すること | 読後の行動 |
|---|---|---|---|---|
| 第1章 | なぜ今の方法では続かない? | 失敗した場面、当時のメモ | 日時、条件、言い過ぎがないか | 自分の止まる場面を記録する |
| 第2章 | どう選び分ける? | 比較した方法、判断を変えた経験 | 例外、向かない条件 | 一つの場面で選ぶ |
| 第3章 | どう実践する? | セミナー資料、実践例 | 手順の抜け、再現条件 | 小さく試す |
| 第4章 | どう続ける? | 続かなかった理由、改善例 | 保証できない結果 | 見直す日を決める |
空欄が見つかったら、一冊全部を書けないと悩む必要はありません。その章に必要な質問だけをAIとの壁打ちや音声入力で掘ります。設計図があれば、追加する材料の目的が分かります。
実例|漫画だけで作った集中力の本を、構成から作り直した
僕の『集中力は、「使い分け」が9割』は、最初は漫画だけで構成していました。一度全体を作ったあと、漫画だけでは考え方を確実に伝え、読者が実践するには足りないと感じました。そこで文章を加える小修正ではなく、構成から作り直しました。
この経験から、章立ては最初に一度決めたら動かせないものではないと考えています。実際に並べてみて、読者が理解や実践で止まるなら、テーマの範囲、漫画と文章の役割、章の順番へ戻ります。
修正前後の構成表や作業メモは残っていません。ここで公開できるのは、本人の記憶として確認した制作判断と、現在公開している本だけです。存在しない比較資料を再現画像のように見せることはしません。
僕は制作の仕組みを整えたあと、約2週間で5冊を制作したことがあります。ただし、これは誰でも同じ速度で作れるという話ではありません。経験の量、確認作業、図や漫画の有無、本業との兼ね合いで期間は変わります。速さより、戻る場所になる設計図を持つことが先です。
立派な実績がなくても、経験は整理できる
「人に誇れる結果がないから、本にできない」と考える人もいます。僕は、大きな売上や受賞歴だけを実績とは考えていません。小さくても、自分が困り、試し、失敗し、何かを変えた経験は、一つの材料です。
ただし、小さな経験を大きな成功へ言い換えてよいわけではありません。
- 自分が実際に経験したことか
- 読者の具体的な問題とつながるか
- 事実、記憶、意見を分けられるか
- 他人の権利や秘密を侵害しないか
- 結果を保証する書き方になっていないか
この条件を確認できれば、派手な数字がなくても準備は始められます。逆に、経験の整理そのものは避けられません。それが本の材料になるからです。
コミコ経験が小さくてもいいなら、誰でもすぐ本にできる?
親バカ社長材料の大きさより、その人が掘り出し、確かめ、最後まで形にする意思があるかです。やらない理由だけを探し続ける状態では、こちらが代わりに頑張っても本は出ません。今は出さないと決めるのも選択ですが、出したいなら自分の判断は必要です。
既存資料を使う前に、権利と公開範囲を確認する
自分のメモでも、顧客名、社内情報、第三者が作った図、セミナーで借りた画像が含まれることがあります。本の材料として見つけたことと、出版してよいことは別です。
Amazon KDPは、出版者がアップロードするすべての内容について、出版に必要な権利を持つことを求めています。AIで生成した文章や画像を使う場合も、KDPへの申告とコンテンツガイドラインの確認が必要です。
- Amazon KDP「著作権のガイドライン」(2026年9月4日確認)
- Amazon KDP「コンテンツ ガイドライン」(2026年9月4日確認)
この記事で作るのは、本文を書く前の設計図までです。KDPが現在受け付けるファイル形式や入稿準備は、執筆後に公式情報を確認します。現時点ではDOC/DOCX、KPF、EPUBなどが案内されていますが、仕様は変わる可能性があります。
Amazon KDP「電子書籍の原稿に対応しているファイル形式」(2026年9月4日確認)
本文を書く前の準備チェックリスト
- [ ] 読者を、困っている場面まで具体化した
- [ ] 一冊で答える問いを一文にした
- [ ] 今回は答えない範囲を決めた
- [ ] メモ、資料、頭の中の経験を一か所へ出した
- [ ] マインドマップで似た経験をまとめた
- [ ] 質問で失敗、判断、変化、条件を掘った
- [ ] 事実、記憶、意見を分けた
- [ ] 章を疑問解決型かレベルアップ型で並べた
- [ ] 各章へ経験、具体例、読後の行動を置いた
- [ ] 空欄の章だけ追加で聞くことを決めた
- [ ] 顧客情報、引用、画像などの権利を確認した
- [ ] 本人が最後まで判断して形にする意思を確認した
次に確認する記事
設計図ができたあと、どこから誰へ頼むかを決めるなら、Kindle出版代行・出版プロデュースの違いで依頼範囲を確認できます。
自作と外注に何の費用が発生するかは、Kindle出版は無料?自作と外注で発生する費用の分け方で整理しています。出版後に本をどこへ置くかは、Kindle本を出版後に営業へ使う方法の役割です。
企画からKDP公開、出版後までの工程全体は、別記事で扱う予定です。まだ公開していないページへはリンクしません。
まとめ|本文を書き始める前に、誰の何を解く本か決める
本は、最初から一冊分の文章がそろった状態で始まるものではありません。メモ、資料、会話、頭の中の経験を外へ出し、読者の問題と重なる場所を探すところから始まります。
- 材料をマインドマップへ出す
- AIとの壁打ちや音声入力で、忘れていた経験を掘る
- 自分が伝えたいことと、読者の問題を重ねる
- 一冊で答える問いと、答えない範囲を決める
- 章を疑問解決型かレベルアップ型で並べる
- 各章へ経験、具体例、読後の行動を配る
僕自身、10冊以上のどの本でも、一章から最終章までの文章を先に書き終えてから制作を始めたことはありません。だから、「まだ本文を書いていない」だけで本づくりを諦める必要はないと考えています。
最初の一歩は、長文を書くことではありません。読者一人、問い一つ、使う経験を一つ書き出してください。そこから一冊の設計図を作れます。



