OPENING MANGA / 3 PAGES
全員賛成。でも、完成図は三つあった。
同じ「漫画を作る」という言葉から、冊子・広告・漫画LPを思い浮かべていた社内。修正するほどゴールが増えていく痛みを、発注前の3ページで描きました。



漫画制作を依頼するとき、最初に決めるのは絵柄でもページ数でもありません。その漫画に、どこで何の仕事をしてもらうかです。
会社紹介、広告、漫画LP、Kindle、営業資料。同じ「漫画」でも、読む人、長さ、構成、納品形式、公開後に見る数字が変わります。用途が曖昧なまま制作を始めると、関係者は全員まじめに取り組んでいるのに、修正指示だけが食い違っていきます。
この記事では、初めてビジネス漫画を作る人が、用途を一つに決め、発注前の情報を1枚へまとめ、制作から納品まで進める方法を解説します。
漫画制作を依頼する前の30秒で分かる結論
先に決める誰に・どこで・何をしてほしいか
→後から決める絵柄・頁数・制作方法・依頼先・見積もり
一つの漫画に、一つの仕事。用途から納品条件を逆算する。発注前に、次の4点を一文で言える状態にします。
- 誰に読ませるか
- どこで読ませるか
- 読後に何をしてほしいか
- そのために、どんな形で納品してもらうか
ページ数、絵柄、制作方法、依頼先、見積もりは、その後です。漫画を作ること自体をゴールにすると、完成した瞬間に行き先を失います。
この記事で分かること
- 漫画LP・広告・Kindleなど、用途を分ける判断基準
- 発注前に埋める「漫画制作ブリーフ1枚」の項目
- 用途決定から公開までの7工程と承認地点
- 納品形式、二次利用、修正条件の確認方法
- 費用記事と依頼先比較記事の使い分け
最初に決めるのは「漫画の仕事」
「サービスを漫画にしたい」だけでは、発注条件として足りません。
広告担当は一瞬で目を止める短い漫画を想像し、Web担当は相談まで説明する縦長のページを想像し、経営者は会社の考えを残す冊子を想像しているかもしれません。全員が「漫画を作る」で合意していても、完成像は別物です。
まず、読者に起こしたい変化から用途を選びます。
DIAGRAM 01 / ONE MANGA, ONE JOB

| 読者に起こしたい変化 | 主な置き場所 | 漫画が担当する仕事 | 次に確認する記事 |
|---|---|---|---|
| 自分の悩みだと気づいてもらう | 広告・SNS | 一つの痛みと続きを示す | 漫画広告ガイド |
| 複雑なサービスを理解し、相談してもらう | Webページ | 共感から仕組み・証拠・CTAへ渡す | 漫画LPガイド |
| 経験や専門性を、まとまった形で残す | Kindle | 一冊の読書体験として信頼を積む | Kindle出版ガイド |
| 商談中の説明を補助する | 営業資料 | 会話のきっかけと要点整理 | 使用場面と説明担当を社内で決める |
| 手順や考え方を共有する | 採用・研修・マニュアル | 場面を再現し、行動を覚えやすくする | 対象者と確認テストを社内で決める |
コミコせっかく作るなら、同じ漫画を広告、LP、Kindleへ全部使えませんか?
親バカ社長元になる事実や人物は共有できます。でも、そのまま流用はしません。広告は入口、LPは説明と行動、Kindleは一冊の読書体験です。同じ材料でも、任せる仕事に合わせて組み直します。
一つの漫画へ仕事を詰め込むのではなく、主用途を一つ決め、必要なら用途別の派生版を設計する。これが最初の判断です。
発注前に「漫画制作ブリーフ1枚」を埋める
長い企画書は必要ありません。まずは次の10項目を、A4一枚程度へまとめます。決められない項目は空欄にせず、「依頼先と相談して決める」と書きます。
| 項目 | 書く内容 | 確認する質問 |
|---|---|---|
| 1. 読者 | 業種ではなく、読む場面まで具体化 | どこで、何に困っている人か |
| 2. 主用途 | 広告、LP、Kindle、営業資料など一つ | 最初に公開する場所はどこか |
| 3. 読後行動 | 相談、購入、資料請求、理解、社内実践 | 読み終えた直後に何をしてほしいか |
| 4. 一つの主張 | 読者に持ち帰ってほしい結論 | 一文だけ残すなら何か |
| 5. 事実と根拠 | 商品仕様、実績、記録、一次資料 | 何を根拠に言えるか |
| 6. 素材 | 写真、ロゴ、既存文章、参考URL | 使用権を確認できるか |
| 7. 表現条件 | 雰囲気、避ける表現、必須表記 | 誤解されると困る点は何か |
| 8. 承認者 | シナリオ、絵コンテ、完成版の責任者 | 誰の確認で次へ進めるか |
| 9. 納品条件 | サイズ、形式、ページ順、元データ | どこへ入稿・掲載するか |
| 10. 利用範囲 | 媒体、期間、改変、二次利用 | 将来どこへ展開する可能性があるか |
素材を大量に渡すだけでは、判断を渡したことになりません。「この資料の、どこを根拠として使うか」まで示します。
一文にまとめる型
【読者】が、【掲載場所】で読み、【理解・感情の変化】を経て、【次の行動】を取るための漫画。
たとえば「サービスを知らない経営者が、広告から漫画LPへ進み、自分の課題と仕組みを理解して、無料相談を検討するための漫画」です。ここまで書ければ、必要な長さと情報量を話し合えます。
コミコ目的だけ伝えて、企画から丸ごとお願いするのは駄目ですか?
親バカ社長企画を一緒に作ってもらうのは大丈夫です。ただ、商品の事実、言ってよい約束、社内の承認は発注者にしか決められません。任せる工程と、手放せない判断を分けます。
漫画制作は7工程で進める
DIAGRAM 02 / SEVEN PRODUCTION STEPS

発注から公開までの7ステップ
- 主用途・読者・読後行動を一文で決める
- 事実資料・使用素材・表現上のNGを整理する
- 企画構成で、漫画が担当する範囲を決める
- シナリオで、事実・セリフ・展開を確認する
- 絵コンテで、コマ割り・視線・CTAへの接続を承認する
- 作画・文字入れで、キャラクター・日本語・表示を検品する
- 用途別データを受け取り、掲載・計測・保管まで確認する
大事なのは、工程名よりどこで何を確定するかです。完成作画の後で企画へ戻ると、修正範囲が大きくなります。
企画構成で確認すること
- 読者のどの場面から始めるか
- 漫画で扱う疑問を一つに絞れているか
- 本文、営業担当、LPなどへ渡す情報は何か
- 読後行動へ無理なくつながるか
シナリオで確認すること
- 商品や経験について、事実でない表現がないか
- 誰が話しても同じになる一般論へ寄っていないか
- 読者の痛みを説明せず、場面と感情で再現できているか
- 会社が言いたい順番ではなく、読者が知りたい順番か
絵コンテで確認すること
- コマの順番と視線移動が自然か
- スマホで読める文字量か
- 登場人物、背景、必要な具体物がそろっているか
- この段階で直す内容と、作画後に直せる内容が分かれているか
完成版で確認すること
- 指定した日本語、数字、固有名詞が正しいか
- キャラクターの外見と話し方が固定されているか
- 手指、腕、持ち物、吹き出しの向きに破綻がないか
- 掲載先で縮小・切り抜きされても意味が伝わるか
AI漫画を作る具体的な工程は、AI漫画の作り方で解説しています。キャラクターを継続利用する場合は、キャラクターを固定する方法も先に確認してください。
納品は「完成画像を受け取る」で終わらない
DIAGRAM 03 / USABLE DELIVERY PACKAGE

主用途が決まると、必要な納品物が分かります。
- Web掲載用の画像と表示順
- 広告やSNSで使う用途別の比率・サイズ
- 印刷や出版に必要な解像度・ページ順・形式
- 文字差し替えやトリミングに使うデータ
- ファイル名、版、公開先、最終版の区別
- 二次利用できる媒体・期間・改変範囲
- 第三者素材やフォントの利用条件
- AIを使った工程と、確認・修正・記録の扱い
広告や出版プラットフォームの仕様は変わります。制作開始時と入稿前に、掲載先の公式情報を確認します。「SNS用一式」のようにまとめず、媒体・掲載面・比率・本数を言葉にします。
著作権法では、著作権の全部または一部を譲渡できますが、著作者人格権は譲渡できません。また、著作権を譲渡する契約でも、第27条・第28条の権利が特に示されていなければ、譲渡した側に留保されたものと推定される規定があります。
だから「著作権込み」という一言で済ませず、掲載、切り抜き、文字変更、動画化、印刷、再配布など、必要な使い方を洗い出します。契約文言に法的な判断が必要な場合は、案件に応じて弁護士などの専門家へ確認してください。
コミコAIで漫画を作るなら、発注前の準備は少なくできますか?
親バカ社長作画を進める速度と、判断を省けるかは別です。むしろ入力する事実、キャラクター、世界観、修正履歴を残さないと、速く別物が増えます。準備をなくすのではなく、再利用できる形へします。
AI漫画の商用利用や規約確認は、AI漫画の著作権・商用利用ガイドで分けて解説しています。
外注をやめた経験から、制作物より先に残すようになったもの
私も以前、漫画LPやアイキャッチへ使う漫画を外注していました。必要な場面で漫画を使えた一方、費用負担が大きく、継続をやめています。正確な外注費、納期、修正回数の記録は確認できていないため、ここでは数字を作りません。
その後、AIで漫画を作れると知り、自分専用のAI漫画制作ハーネスを組みました。内部仕様を公開したり販売したりはしていませんが、何を保存するかは決めています。
- デザインと文章のキャラクターシート
- 見た目、性格、話し方、世界、風景を決める世界観シート
- 使用したプロンプト
- 生成画像と修正履歴
- 完成データ
- 公開先と最終版の情報
これはAIを使うためだけの管理ではありません。担当者が変わっても、何を根拠に作り、どこを直し、どれが公開版なのかを追えるようにするためです。
正直に言うと、絵が完成することばかり考えると、こういう地味な記録は後回しになります。でも、次の展開で効くのは完成画像だけではありません。判断の履歴です。
漫画は、置き場所によって評価する数字が変わる
この経験からも、漫画や広告の価値は「何部売れたか」だけでは決まらないと考えています。
| 用途 | 確認済みの経験 | そこから残った判断 |
|---|---|---|
| 漫画LP | 無料相談CVRが最高月約2%から約13%へ改善した一事例 | 漫画だけでなく、説明とCTAまでつないで見る |
| 広告からLP | Meta広告とYouTube広告を約3か月運用。入口のクリック反応は良かったが、広告費30万円に対して相談1件 | 入口と着地先を分けて確認する |
| Kindle | 販売0冊の本から30万円の漫画制作依頼につながった | 販売数だけでなく、信用や仕事への接続も見る |
広告の正確なCTRと最終的な費用対効果、漫画LP改善後のアクセス数は確認できていないため推測しません。
用途が違えば、成功の定義も変わります。制作前に「公開後、何を見て判断するか」まで決めます。
費用と依頼先は、用途を決めた後に比較する
漫画制作費は、ページ数だけでは決まりません。企画、シナリオ、キャラクター設計、背景密度、修正、納品形式、二次利用などで変わります。具体的な見積もり条件は、漫画制作費を変える条件と見積もりの読み方で扱います。
制作会社・個人・クラウドソーシングにも、固定の優劣はありません。自社に残る企画、資料整理、進行管理、承認、公開作業を含めて選びます。詳しくは、漫画制作の依頼先を責任範囲で比較する記事で解説します。
先に確認する注意条件
- 商品や申込条件が固まっていないなら、作画より商品情報の整理を先にする
- 主用途を決められないなら、複数用途を一つの原稿へ詰め込まない
- 事実資料や使用権を確認できない素材は、制作指示へ入れない
- 社内承認者が複数いるなら、絵コンテ前に最終決定者を一人決める
- 掲載先が未定なら、用途別サイズを先に量産しない
- 成果保証を前提にせず、公開後に確認する数字と判断日を決める
発注前チェックリスト
- 主用途が一つ決まっている
- 読者、読む場面、読後行動を一文で言える
- 漫画で伝える主張が一つに絞られている
- 事実資料と、その中で使う根拠が分かる
- 使用素材の権利を確認できる
- 企画、シナリオ、絵コンテ、完成版の承認者が決まっている
- 掲載先と必要な納品形式が分かる
- 修正できる段階、対象、回数、追加条件を確認した
- 二次利用、改変、著作者名、第三者素材の条件を確認した
- 公開担当、保管担当、公開後に数字を見る担当が決まっている
まとめ|漫画を作る前に、その漫画の仕事を一つにする
- 絵柄や依頼先より先に、読者・掲載場所・読後行動を決める
- 主用途は一つにし、別用途は派生版として設計する
- 発注情報は「漫画制作ブリーフ1枚」へまとめる
- 7工程それぞれに、確認内容と承認者を置く
- 納品形式、二次利用、公開後の確認まで制作範囲に含める
- 費用と依頼先は、同じ用途と条件へそろえてから比較する
漫画LP・広告・Kindleのどこへ使うか決めきれない場合は、現在の説明、読者、読後行動、持っている素材を整理するところから相談できます。一般的な漫画制作を無理に勧めるのではなく、漫画LPが合うのか、Kindleへまとめるのか、先に別の説明を直すのかを一緒に確認します。
確認した一次情報
- e-Gov法令検索「著作権法」(2026年8月25日確認)
- 文化庁「著作権契約書作成支援システム」(2026年8月25日確認)
- 文化庁「誰でもできる著作権契約マニュアル」(2026年8月25日確認)
- Google広告ヘルプ「レスポンシブ ディスプレイ広告の仕様とフォーマットの要件」(2026年8月25日確認)
- Amazon KDP「Content Guidelines」(2026年8月25日確認)
- Amazon KDP「Kindle Publishing Guidelines」(2026年8月25日確認)


